いま大流行の NSX ですが、実は 2つの製品があります。
- VMware NSX for vSphere (NSX-V)
- VMware NSX for Multi-Hypervisor (NSX-MH)
それぞれ、基本的な概念(トランスポートゾーンを構成して、その中で論理スイッチを構成できて…)
といったところは共通ですが、ソフトウェア自体や機能は異なります。
結構わかりにくいので、それぞれ簡単に紹介してみようと思います。
ちなみに、「NSX の製品データシート」を見てみると・・・
NSX の製品データシート
http://www.vmware.com/files/jp/pdf/products/nsx/VMware-NSX-Datasheet.pdf
(英語)
http://www.vmware.com/files/pdf/products/nsx/VMware-NSX-Datasheet.pdf
展開方法(英語では「How to Buy」)に下記のように書いてあるのですが、
1文目が NSX-V、 2分目が NSX-MH を指していると思われます。
(vCAC がそれぞれに書いてあったりしますし)
NSX を VMware vSphere 環境に展開し、vSphere、VMware
vCloud Director および VMware vCloud Automation Center と
完全に連携させることができます。また、Xen Server、KVM または
VMware vSphere ESXi などのマルチ ハイパーバイザー環境に展開
して、vCloud Automation Center、OpenStack および CloudStack
などのクラウド管理ソリューションを使用することも可能です。
それぞれの、主な違いについて。
VMware NSX for vSphere(NSX-V)
- これまでの vCloud Networking and Security(vCNS)が進化したもの。
- 現行のバージョンは 6.1.x。
- 対応するハイパーバイザは ESXi だけ。
- vCenter インベントリのオブジェクトを指定した分散ファイアウォール制御 ができたりするのはこちら。
- 使用する仮想スイッチは、vDS を機能拡張したようなもの。
- トランスポートゾーンは、vCenterのクラスタ単位で拡張。
- ハードウェア VTEP は使えなそう。
ただし物理サーバが NSX 環境下で通信不可能というわけではない。(L2 Bridging あり) - トンネルは VXLAN だけ。
- ソフトウェアベンダとの製品連携はこちらが多いような・・・
- もともと vCNS、vShield ~と連携していた製品は、だいたいこちらの NSX と連携する様子。
VMware NSX for Multi-Hypervisor(NSX-MH)
- 元 NVP(旧 Nicira)。
- 現行バージョンは 4.2.x。(バージョンは、NSX-V とは関連していない)
- 対応するハイパーバイザは ESXi のほかに KVM、Xen ...
(ただしESXi を使用する場合も、VIB が NSX-V とは異なる) - OpenStack(Neutron)連携したりするのはこちら。
- 使用する仮想スイッチは、Open vSwitch ベースのもの(らしい)。
- トランスポートゾーンは、ハイパーバイザや、ゲートウェイ単位での拡張ができる。
- 物理スイッチ等の「ハードウェア VTEP」が使えるのもこちら。
- トンネルは、VXLAN、STT、GRE ...
- HW ベンダとの製品連携はこちらが多いような・・・
それぞれ、vSphere 環境への導入方法も異なります。
たとえば ESXi への追加モジュール(VIB)も、そのインストール手順も違います。
続いて、スクリーンショットをもとに違いを見てみようと思います。
※スクリーンショットは HoL でとりました。
NSX-V の様子。
NSX Manager のログイン画面です。
ログインして、Summary タブを開いたところです。簡潔・・・
ESXi には、いくつか NSX 特有の VIB が追加されます。
ちなみに Web Client から自動インストールっぽいことができます。
vCenter の Web Client には、vCNS のころからの
「Network & Security」メニューがあります。
NSX-V の操作は、基本的にはWeb Client の
「Network & Security」メニューのあたりから実施できます。
NSX-MH の様子。
NSX Manager のログイン画面は、ほとんど同じです。
よく見るとアイコンが違ったり、右下にバージョン表記があったりします。
ログインすると、NSX-V とは相当違います。結構、玄人志向な気が・・・
NSX-V と異なり、Web Client ではなくこの画面からの設定が基本となるようです。
ESXi の追加 VIB は、NSX-V とは違います。
※NSX-V の例と表示コマンドが違いますが、深い意味はありません・・・
NSX-MH では Web Client には、「Network & Security」メニューがありません。
他にも、いくつか NSX を知るうえでヒントになりそうなことを挙げておこうと思います。
製品マニュアル。
ドキュメントも、NSX-V と NSX-MH は完全に別です。
NSX-V
VMware NSX for vSphere Documentation
https://www.vmware.com/support/pubs/nsx_pubs.html
NSX-MH
一般公開はされてなそうです。
(製品購入すれば、MyVMware から DL できる様子・・・)
今年の HoL。(日本語)
VMware Hands-on Labs
http://labs.hol.vmware.com/HOL/catalogs/
NSX-V
HOL-SDC-1403 - VMware NSX Introduction
※英語では他にもいろいろあります。
NSX-MH
HOL-SDC-1420 - OpenStack with VMware vSphere and NSX
※OpenStack がメインっぽいですが、NSX-MH 環境です。
技術書籍。
いまのところ、NSX の専門書は下記だけ・・・
NSX-MH ベースに説明していて、
NSX-V については、それ用の章(5-4 ~)をもうけて説明されています。
詳解VMware NSX ネットワーク仮想化の基礎と応用
http://book.impress.co.jp/books/1113101094
※ちなみに正誤表もここにあります。
資格について。
VMware Certified Professional - Network Virtualization(VCP-NV)
https://mylearn.vmware.com/mgrReg/plan.cfm?plan=51111&ui=www_cert
選択問題の試験。基本的には NSX-V ですが、若干 NSX-MH の知識も含まれます。
VMware Certified Implementation Expert - Network Virtualization(VCIX-NV)
https://mylearn.vmware.com/mgrReg/plan.cfm?plan=52165&ui=www_cert
実機試験。完全に NSX-V の資格です。
※くわしくは上記 Web サイトの「Exam Blueprint」を参照。
最後に。
NSX の説明については、NSX-V / NSX-MH どちらのことか(もしくは両方か)
わかりにくいものが多いので、どちらの話なのか整理してみると
理解しやすいのではないかと思います。
以上です。NSX-V / NSX-MH についての話でした。
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